【医療】
ITの積極的活用を推進する甲状腺疾患専門の伊藤病院
ftServerによる高可用性最新医療情報システム構築
伊藤病院の電子カルテシステムは、血液検査・エコー診断・放射線診断などの診療系システムに加え、受付会計・薬袋管理・携帯電話による患者様の待ち状況確認など豊富な機能を各システムと連動し、同院の中核を担うシステムである。ftServerを導入することで、全国から来院する1日平均1,000人以上の外来患者様に、日々甲状腺疾患専門医療を提供している。
全国に数少ない甲状腺疾患専門病院として名高い東京・表参道の伊藤病院。1937年10月の開院以来常に先進の医療を数多くの患者様に提供している。来院する1日あたりの外来患者数は1,000人から1,500人。同院では患者様に高い医療サービスを迅速に提供するために常勤医師27名を含む常勤スタッフ190名が積極的にITを活用して診療にあたっている。甲状腺疾患専門診療に特化した電子カルテを中心とする診療系情報システムや血液検査システム、そして一般業務系情報システムなどをいち早く導入し、全国から来院される患者様に的確、且つスムーズな診療を提供すると同時に、待ち時間が短縮化できるように工夫されている。
現在同院が導入しているサーバシステムの数は30。そのうち人事、勤怠、IT支援系のサーバなどの17の非診療系システムは、システムインテグレータであるパナソニック ソリューションテクノロジーにより、仮想化されている。これらの多くは7年前に構築したシステムであり、サーバのリプレースの際に仮想化によって、サーバ機器の保守費削減、サーバ室のスペース節約、サーバ管理の統一化を目的に行ったのだ。
さらに2011年には24TBのストレージを有するPACS(Picture Archiving and Communication System:画像保存通信システム)の導入が決まっており、機材の設置場所の確保も必要であった。
このような状況のなか、停止が許されない電子カルテシステム、血液検査システムなどの重要なシステムには、高可用性がきわめて重要となり、ストラタスの無停止型サーバが採用されるに至った。
ftServerの最初の導入は5年以上を遡る。2005年1月の電子カルテシステムの運用開始にあたり、2004年4月に電子カルテシステムのゲートウェイ・サーバとしてストラタスのftServer3300を導入、2004年10月には同システムのデータベース・サーバにftServer5600を導入した。当初の導入理由は、パナソニック ソリューションテクノロジーとともに電子カルテシステム開発元のBML社が世界的にも多くの実績のあるストラタス社のftServerを推奨していたことにある。同院事務部システム管理室主任の齋藤 功 氏はその提案を受け入れた理由として次のように語る。
「一般的に医療業界には24時間365日システムを監視、管理する情報システム部やシステム管理者は、殆どの場合専任しておらず、兼務していることが実情です。当院では、病院が管理している共通のネットワーク・診療系サーバ・仮想化された業務系サーバ・各システムとの連動・クライアントを当院側で修理や一次切り分けを行う必要があることから、専任のスタッフ1名と兼務1名にて運営しております。しかし24時間365日運用するためには、トラブルが少ない無停止型サーバは非常に有効であると考えました」
一方で血液検査システムについてもストラタスの無停止型サーバを導入してきた。齋藤氏はその理由を次のように語る。
「甲状腺疾患において血液検査を行う理由は、その結果に基づいて薬の量を調整するためです。外来の患者様の90%以上が診察を受ける前に血液検査を受けるため、同システムが停止すると電子カルテシステムの停止に匹敵するぐらいのインパクトが生じてしまいます」
このような重要性から、2005年7月に構築した血液検査システム用データベース・サーバにftServer 3300、2008年3月に構築した同システム用ゲートウェイ・サーバにftServer2500が導入され、現在は1台のftServer4410に統合されたのだ。
一方電子カルテシステムでは、導入から5年以上が経ち、データベースの処理性能に多くの問題が露呈してきた。外来関係で動いている端末は180台あり、受付番号にひもづき、患者様のオーダ状況の確認や患者様のカルテを表示させるようになっている。180台の端末が10〜15秒間隔で表示を更新するため、データベースには頻繁に最新情報の問い合わせが行われている。とくにその問題が顕著に表れるのは午前中の診療時間である。外来の患者様は午前8時の血液検査開始から順次採血を受ける。その結果は1時間ほどで得られるが、その後も患者様は次々と来院する。9時に診察が始まるため、患者様のオーダ・結果送信・結果参照の処理が同時に行われる。その結果、10時から約60分の間にはトランザクションがもっともピークを迎える状況となるのだ。
リプレース前のデータベース・サーバは32ビット版のWindows Server上で動作しており、4GB以下のメモリしか使うことができない。このため、大容量のデータを処理するためにページングが頻発した。ページングが頻発するとCPU使用率の増加を招き、その結果としてオーダ処理が待たされる。この状況下においてさらにページングが頻発する非効率のスパイラルが起きていた。
齋藤氏は様々なボトルネックの要因になるメモリに着目し、大量のメモリ搭載が可能で64ビットOSが動作可能な最新のftServerへのリプレースを検討した。その結果、2010年5月にストラタスの第5世代ftServerであるftServer6300を導入した。
伊藤病院が導入したftServer6300は、96GBの大容量メモリが搭載されており、その大容量をサポートする64ビット版のWindows Serverが稼働している。その効果について、齋藤氏は次にように語る。
「電子カルテシステムのデータベースは100GBのパーティションに50GBの実データが格納されています。ftServer6300の導入後、Windowsシステムキャッシュとしては95%キャッシング済みの状態となり、データベースがオンメモリで稼働するようになりました。この結果、これまでのシステムと比較して150%の性能改善を確認しました。また、具体的な例として、電子カルテの立ち上がりにおける最新マスタテーブルの読み込み処理時間は、これまでのシステムと比べて7分の1に短縮できています。この改善されたパフォーマンスは、外来がもっとも混む午前10時〜11時頃のピークタイムにおいてもまったく低下しません」
しかし、齋藤氏はなぜ96GBもの大容量のメモリを初期から導入しようと考えたのだろうか。齋藤氏は次のように語る。
「今回のftServer導入にあたっては、今後のシステム拡張や長期的な利用を考慮していました。販売終了を過ぎてしまった場合の部材の確保は難しくなることも考え、購入当初から最大搭載容量を導入しました。たしかに初期投資は少なくありませんでしたが、途中で増設するとなった場合の部材の販売状況やマッチング、増設時のサーバ停止による診療業務への影響、そしてその時点での追加費用を考えると適切な投資が行えています」
また、ftServerについては保守サービスにも高い評価をしている。その点についても齋藤氏は次のように語る。
「これまでも大きな問題は発生していませんが、サーバルームの空調の不具合により、ftServerの温度センサー管理が反応し空調の問題が発覚しトラブルに至る前に解決した事や、サーバの片系障害が発生したことをいち早く知り診療業務に影響なく計画停止し交換できたことがありました。この時の経験でftServerが適切な通知や待機系エンクロージャへの切り替え動作を自動的に通知したことを実感しました。正直障害発生の際に、診療業務が継続されるのかという心配はありましたが、まったく問題なく業務処理は継続されました。このようにアラート発報や待機系エンクロージャへの切り替えの機能は管理者の負担を大きく軽減しました。また、障害パーツ交換の保守対応に関しては、一般的なベンダの場合、現場に多くのパーツを持ち込み必要部材の調査をした上で、交換作業にとりかかることが多いのですが、ftServerの場合は、万一障害が発生しても遠隔から故障個所を明確にした上でエンクロージャごと持込み、シンプルで迅速な交換作業を行いますので最小の計画停止時間で解決できました。この遠隔保守体制は、迅速かつ確実なシステム復旧につながっています」
さらに同院のシステム構築を担当したパナソニック ソリューションテクノロジーへの評価も高い。100GBの電子カルテのデータおよび1.4TBのエコーの画像データを格納するために、ftServerが他社製のストレージに接続している。これだけの大容量データのバックアップ処理とリストア処理にテープ媒体の場合、多くの処理時間が費やされる事から、パナソニック ソリューションテクノロジーにはスナップショットのスクリプトの開発と導入をお願いしたと齋藤氏は語る。
「パナソニック ソリューションテクノロジーにはサーバを中心としたIT製品のトータルインテグレータとして協力していただいています。複雑なマルチベンダのシステムにおいては、パナソニックグループで培ったITの活用ノウハウを当院へ提供して頂いております。また、メーカとパナソニック ソリューションテクノロジーとの間でも強いパートナーシップが築かれており、その上で我々の問い合わせにワンストップで対応いただいています」
齋藤氏のストラタスおよびftServerに対する長きに渡る信頼関係は厚い。齋藤氏は、ftServerについて次のように総括する。
「いくらベンチマークが速くても、安定して動いているシステムほど速いシステムはありません。例えば障害が発生しリブートや部品交換を行う間の作業時間、更にはバックアップからの復旧を必要とする事態の場合では長時間使用することが出来なくなります。この様にたとえベンチマークが早いとしても信頼性がないシステムに業務を預けることはあり得ません。もちろんストラタスのftServerは十分なパフォーマンスを備えていますが、その上で耐障害性が保たれていることにより、安心して運用することができます。また、手組みでの冗長化システム設計で、I/Oの同期技術やフェイルオーバにかかるハードウェアの設計とシステム構築、その後の運用を考えると、オールインワンのftServerが特別に高価というわけではないと考えています。総じていうと、システムを適正な費用で安心して運用できることがストラタスの価値だと思います」
齋藤氏が現在もっとも注目する技術は仮想化だ。伊藤病院もすでに仮想化を導入しており、今後も推進していく立場を堅持している。このような状況においても同院におけるストラタスのポジショニングに揺るぎはない。齋藤氏は次のように語る。
「今後、システムの重要度や用途に応じて棲み分けを行っていきます。1U、2Uの単独で動作していたローエンドのサーバは仮想化の対象になっていくと思います。一方で、重要なシステムは高い可用性のシステム基盤が必要です。このため、本当に止まってはいけないシステムは今後もストラタスのftServerで構築していく考えです」
さらに、齋藤氏のストラタスおよびftServerの仮想化対応についても期待が大きい。齋藤氏は続ける。
「ftServerにはMicrosoft Hyper-Vへの対応を特に期待しています。サーバの性能が飛躍的に向上していることからftServerによるハードウェアの二重化の上でHyper-VによるDBの二重化を試みたいと思っています。そうするとDBの設計は難しくなりますが、耐障害性の観点では相当高い信頼性を確保できるはずです。また、Microsoft Windows Server Datacenter Editionを活用することにより、仮想化環境化のOSライセンス費用やソフトウェア・アシュアランスを大きく削減することができ、ftServerは大きなコストメリットを生み出します」
伊藤病院は長きにわたり、合計7台のftServerを活用、そしてftServerに対する絶大なる期待を持っている。同院は、ftServerを活用することで今後もより多くの患者様に質の高い医療サービスの提供に臨む。
伊藤病院様 システム概念図
| 伊藤病院 事務部 システム管理室主任 齋藤 功氏(左) |
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| パナソニック
ソリューションテクノロジー株式会社 営業グループ 東日本ソリューション2チーム システムエンジニア 主任 樋口 勝彦一氏(右) |
| 社名 | 伊藤病院![]() |
| 設立 | 1937年10月 |
| 所在地 | 東京都渋谷区神宮前4丁目3番6号 |
| 診療項目 | 甲状腺疾患専門病院(外科、内科、放射線科) |
| 職員総数 | 190名 |
| URL | http://www.ito-hospital.jp/ |
| 法人名 | パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 ![]() |
| 設立 | 1988年12月 |
| 所在地 | 東京都港区浜松町1-17-14 浜松町ビル |
| 事業内容 | オープン系ITインフラの設計・構築、アプリケーションソフトの開発事業 |
| 職員総数 | 282名 |
| URL | http://panasonic.co.jp/sn/psn/pstc |
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