【メディア】
先進性と信頼性を両立する、衛星配信サービス
わが国の衛星通信をリードするJSATは、企業向けのコンテンツ配信サービス「衛星マルチキャスト配信システム」をスタートさせる。
地上線では得られないコストパフォーマンスと利便性によって企業のマルチメディア利用を加速する次世代通信サービスを、ストラタスの無停止型サーバが支えている。
JSAT本社のある東京駅に隣接したパシフィックセンチュリープレイスビル
いま、企業では、動画をはじめとするマルチメディアコンテンツを多拠点間のコミュニケーションに活用したネットワークサービスへのニーズが高まっている。リッチなコンテンツを活用すれば、顧客満足は高められ、ビジネスコミュニケーションの効率も上がるだろう。しかし、その効果を十二分に得るためには大容量のマルチメディアコンテンツを分散する各拠点に効率的に配信できることが前提となる。ネットワークのパフォーマンスと経済性が鍵を握るのである。
「その答えが、衛星マルチキャスト配信システムなのです」
と、JSATの山田総夫氏は胸を張る。JSATは7軌道8衛星を保有するアジアで最大級の衛星通信事業者だ。SKYPerfecTV、110度CS デジタル放送などの放送分野に加え、企業向け通信分野でも多彩なサービスを展開している。このJSATが提供する最新かつ画期的なサービスが衛星マルチキャスト配信システムなのである。
「衛星を使えば、大容量のコンテンツを多拠点にスムーズに同時配信できるのです」
従来の地上線では大容量のコンテンツを送るためには"太い"回線が必要だ。配信先が増えれば増えるほど、回線費用がかさんでいく。もちろん、配信元のシステムにもより大型で高価なものが要求されていく。一方、衛星を利用した配信システムでは、赤道上空にある静止衛星を介してコンテンツデータが日本全国の拠点に向けて電波で一斉に送られる。多拠点に対する一斉同報配信だから、拠点数が増えても通信のキャパシティは変わらない。もちろん、回線費用も拠点数には左右されない。拡大するビジネスに対するマルチメディアデータの配信に、まさに最適なシステムなのである。
「このサービスをできるだけ多くの企業に手軽にご利用いただく。これがネットワークインフラを提供する我々の使命だと考えています」
そのためにJSATは、「システムの共用」という道を選んだ。複数の顧客企業に対して、ひとつのシステムから各顧客のコンテンツを配信する。システムを共用することでサービスにかかるコストを大幅に削減できるのである。
「しかし、そのためには、システムプラットフォームにおける課題を解決しなければなりませんでした」
17階のJSAT社受付には現在軌道中の衛星模型が並ぶ
衛星マルチキャスト配信システムの概要を見てみよう。まず、コンテンツの配信要求を登録する顧客系のシステム。多くの企業に利用していただくためには、その使い勝手がものをいう。衛星マルチキャスト配信システムではこのために専用の端末を用意した。ユーザはブラウザ画面から配信登録はもちろん、配信結果なども簡単に確認できる。さらに、受信ソフトウェアのアップデートなども衛星回線を利用してリモートで行うことも可能。
システムの中核は、3台のサーバだ。顧客からの配信要求を受け付ける受付サーバ、コンテンツを蓄積、管理するファイルサーバ、さらにスケジュール化された配信指示をもとにそのコンテンツを送り出す配信サーバである。送り出されたコンテンツは、衛星システムの送出サーバから衛星を介して契約している顧客企業の各拠点の受信クライアントに同報配信されていく。
「この3台のサーバの信頼性が、システム全体の信頼性に直結するのです」
と語るのは、JSATとともに今回のシステム構築に携わった日立ソフトソリューション第2営業部システム2Gの林和久氏である。官公庁、金融から、流通、製造まで多業界にわたるミッションクリティカルな業務システムの構築に携わってきたわが国有数のシステムインテグレータは、このシステムにビジネスソリューションとしての信頼性を求めていた。
「とくに、複数企業へのサービスという点から、クラスタシステムを超える信頼性が必要でした」
クラスタシステムは、万一の場合に予備機へのフェイルオーバが発生し、短時間とはいえ切り替え時間(サービス停止時間)が生じてしまう。一方、衛星マルチキャスト配信システムは、さまざまな時間帯にサービスを利用する複数のユーザに向けて、コンテンツ配信、課金といった機能をつねに提供し続けなければならない。
「いかに短時間でもシステムが停止してはサービスを正常に受けられないお客さまが生じてしまいます。フェイルオーバという時間そのものが許されないのです」
プラットフォームには、24時間、365日無停止であることが求められていたのである。
JCSAT-4A HS601三軸衛星模型
2001年末、衛星マルチキャスト配信システムのプロトタイプとなる具体的なプロジェクトが始まった。約1,000店舗に大容量データを配信する大規模システムである。この様な大規模システムの構築を支えるシステム基盤にJSATと日立ソフトが選んだ3台のサーバは、いずれもストラタスの無停止型サーバ ftServer3210だった。さらに大容量のマルチメディアコンテンツを蓄積するために、ファイルサーバには、優れたスケーラビリティと高性能、高可用性を提供するデュアルRAIDコントローラ・ファイバチャネルアレイftStorageが接続された。
「詳細設計に入る大分前から、ftServerにするという方針は決まっていたのです」
と、日立ソフトの林氏は当時を振り返る。ftServerの高可用性については以前から知っていたという。ftServerでは、万一の場合、障害検知メカニズムが、2重化されたCPU、メモリ、ディスクの片方を切り離すため、システムは正常に稼動を続ける。
「これにより、事実上の無停止稼動が実現します。信頼性を求める我々に他に選択肢はありませんでした。」
2重化CPU構成のハードウェアもOSやアプリケーションからは1台に見えるシングル・ソフトウェア・イメージの開発環境によって、システム構築もスムーズだったという。クラスタシステムに不可欠な複雑な設定やミドルウェアなどの工夫もいらず、本来のシステム開発に専念できた。このシンプルな開発環境は、さらに大きなメリットにつながった。
「ユーザやコンテンツの増加にも、柔軟に対応できる拡張性です」
と語るのは、山田氏である。ftServerなら、複雑な設定なしに二重化されたマシンを追加してゆける。サービスを提供し続けながら、シームレスに成長するビジネスモデルが可能になったのである。それはランニングコストや開発費用の低減にもつながる。
約6ヶ月の開発期間を経て、2002年7月、新たなネットワークシステムが稼動を始める。
配信コンテンツの受付、蓄積、配信を行う3台のftServer3200(ラックマウント型)
JSATの先進の衛星通信技術と日立ソフトのシステム構築力から生まれた衛星マルチキャスト配信システム。この新しいネットワークインフラは、いまさまざまな業界から注目を浴びている。映画、音楽、ゲームといったコンテンツプロバイダはもちろん、インタラクティブな店頭ディスプレイによる顧客データの収集を求めるコンビニエンスストア、人気講師による講義の全国展開を図る大手学習塾、さらには金融、製造業界からも数多くの引き合いがあるという。JSATと日立ソフトは、ftServerを中核とした高信頼のシステムによって、今後これらのニーズに確実に応えていこうとしている。最後はJSATの山田氏に締めていただこう。
「衛星によるマルチメディアデータの配信は、企業の競争力に直結する"リアルなソリューション"なのです」
ストラタスの無停止型サーバの信頼性が、そのリアリティを支えている。
JSAT衛星配信システムデータフロー概念図
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JSAT株式会社ネットワーク本部サービス部 システム技術課課長補佐 山田総夫氏(右) |
| 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 営業本部ソリューション第2営業部 システム2G 林和久氏(左) |
| 社名 | JSAT株式会社(ジェイサット株式会社) |
| 本社 | 東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内7 17・18F |
| 創業・創立 | 1985年2月18日 |
| 資本金 | 537億6,957万円 (平成14年3月末現在) |
| 事業内容 | 通信衛星による通信・放送のサービスの提供(7軌道8衛星体制) |
| 従業員数 | 199名(平成14年3月末現在) |
| URL | http://www.sptvjsat.com/ |
| 社名 | 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 |
| 本社 | 神奈川県横浜市中区尾上町6丁目81番地 |
| 創業・創立 | 1970年9月21日 |
| 資本金 | 330億6千5百万円(2002年3月末現在) |
| 事業内容 | ソフトウェア開発および業務システムの技術開発、 システムコンサルティング、コンピュータ管理・ 運用サービス |
| 従業員数 | 5,209名(2002年3月末現在) |
| URL | http://www.hitachi-sk.co.jp/ |
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