【情報サービス】
最先端を支える、信頼の伝統
昔ながらの町屋と近代的なビルが混在する京都西陣に京信システムサービスの本社はある。京都信用金庫と日立製作所によって1972年に設立されてから、三十余年。その間に業務の内容は汎用機による受託計算から、ソフト開発、運用業務へとシフトしていったが、お客さまに高信頼のサービスを提供するという基本姿勢は変わらない。
「これからはネット上のサービスに注力していきます」と語るのは、京信システムサービスの執行役員企画本部長 中谷博志氏である。「とくにASPには早くから注目していました」
インターネットを利用したASPなら地域に限定されずにサービスを提供できる。この新しいビジネスモデルを検証するために、京信システムサービスは 2001年にASP事業をスタート。5年後の現在は、北海道から九州まで約20社がこのASPを利用しているという。この間、外部ソフトハウスと受発注サービスを共同開発するなどして関連技術も習得していった。
「お客さまの接続環境も整ってきたことから、事業をさらに本格的に展開することにしたのです」
ASP を事業の大きな柱に育て上げることが、最終的な目標だと中谷本部長は語る。
そのためのシステム基盤に求められた条件のひとつはセキュリティ。近年、企業への攻撃は急速に多様化、高度化している。最新のセキュリティ対策が必要だったのである。さらに、将来の発展に柔軟に対応できる拡張性も求められていた。
「もちろん、サービスの信頼性、可用性は必須です」
金融機関の関連会社として生まれ、クリティカルな金融業務を支えてきた京信システムサービスにとって、24時間365日「止まらないシステム」は大前提だった。
2005年、ASP事業の本格展開に向け、システム再構築プロジェクトがスタートした。
システム構築のパートナーとして選ばれたのは、NTT西日本。万全の保守体制が決め手となったという。さらにサーバの冗長化の手法も際立っていた。「従来のシステムで用いられていたPCサーバによるクラスタリングに代わって、無停止型サーバを提案しました」(NTT西日本ソリューション営業本部システムエンジニア谷村智美氏)。
まず、システム構築時。クラスタリングシステムでは、システム切り替えのスクリプトの作成やその検証テストが不可欠である。その分、時間も労力もかかる。無停止型サーバならそれらは一切不要だ。
そして、運用時。クラスタリングでは切り替えに時間がかかるためサービスの中断は避けられないし、切り替えの信頼性にも疑問が残る。
「実際、いままでのシステムでは、障害時にうまく待機系に切り替わらないケースが多発したのです」(京信システムサービス経営企画部次長 土井俊哉氏)。
無停止型サーバなら二重化されたハードウェア・コンポーネントの両系でシステム稼動しており、万一片系に障害が発生しても切り替わりがなく継続稼動する。クラスタリングにおける切り替えのトラブルに悩まされていた京信システムサービスは、この提案に従って無停止型サーバの導入を決定した。しかし、ここで大きな問題に直面した。
「サーバの搭載OSです」(NTT西日本 谷村氏)
ASP環境のOSとして予定されていたのは、セキュリティ面で優れたLinux。NTT西日本も当初Linuxを搭載した他社製無停止型サーバの採用を提案していたが、この搭載OSがカーネルに変更が加えられた独自のLinuxだったのである。これでは、商用ソフトによっては使えないものが出てくる。使えても純正OSとは違ってメーカの保障はない。
「純正Linuxが稼動するサーバがどうしても必要でした」
その答えはすぐに見つかった。2005年の年末にリリースされたストラタスの無停止型サーバftServer Tシリーズである。
ftServer Tシリーズは、デファクトスタンダードなLinux OSとストラタスの「Continuous Processingテクノロジ」を組み合わせた無停止型サーバである。日本のビジネス分野で最も普及しているRed Hat社Linuxの最新バージョン「Red Hat Enterprise Linux AS v.4」を搭載。無停止型サーバとしては初めてRed Hat社認定の純正Linuxアプリケーションが稼動する。
Linuxアプリケーションに高可用性を提供するのが、「Continuous Processingテクノロジ」だ。他のftServerと同様に複数のハードウェア・コンポーネントが同一命令を同時に実行。コンポーネントのひとつで異常が発生した場合、パートナーコンポーネントがそのまま処理を継続することで、システムダウンを回避し、データ損失を防ぐのである。もちろん、スクリプトやテストは不要だし、切り替えの手間もかからない。
システム開発が始まったのは、2006年の2月ごろから。
「クラスタリングのような手間がかからず、開発もスムーズでした」(NTT西日本 谷村氏)
クラスタ構成だったプロキシサーバ、Webサーバに加え単独構成だった3台のメールサーバもftServer Tシリーズに置き換えられ、可用性は飛躍的に高まった。さらに、ftServer Tシリーズの自己チェック機能を利用した遠隔保守システムも構築され、NTT西日本の監視センタで稼働状況やリソースを24時間見守ることになった。
2006年5月、新たなASP環境が稼動を始める。
現在、メールサーバではLinux版のウィルスチェックアプリケーションが稼動し、お客さまにセキュアな環境を提供している。稼動後、数ヶ月を経たがソフトやハードの問題でダウンしたことは一度もないという。
土井次長は、導入後のメリットをこのように語る。
「以前は、社内のオペレータがサーバのランプをひとつひとつ確認していたのですが、いまはNTT西日本のセンタが障害を検知してくる。非常に安心していられます」
中谷本部長は、高信頼の基盤構築を機に、提供サービスを増やしていきたいという。とくに力を入れているのが、現在開発中のグループウェア、ワークフローツール。
「利用者にも管理者にも喜んでいただけるツールなのです。利用者の方にとっては、他のグループウェアと同等以上の機能が、簡単な操作で利用できる点が”売り”ですね。管理者の方にとっては、セキュリティの内部統制がしっかりしているのがメリットでしょう」
最新のソリューションの中でも、つねにミッションクリティカルな信頼性を忘れない。京信システムサービスの姿に、伝統を継承しながらつねに時代の最先端を拓いてきた古都の精神を感じる。
株式会社京信システムサービス システム概要図
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株式会社京信システムサービス 執行役員企画本部長 中谷博志氏(左) |
| 株式会社京信システムサービス 経営企画部次長 土井俊哉氏(中) |
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| 西日本電信電話株式会社京都支店ソリューション営業本部SE部門ソリューション担当 システムエンジニア 谷村智美氏(右) |
| 社名 | 株式会社京信システムサービス |
| 本社 | 京都市上京区千本通上長者町下ル |
| 創設・創立 | 1972年4月28日 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 事業内容 | 情報処理サービス業/システム開発/ OA機器販売/計算受託/システム運用 |
| 従業員数 | 176名(2006年4月現在) |
| URL | http://www.kssinet.co.jp/ |
| 社名 | 西日本電信電話株式会社 |
| 本社 | 大阪府大阪市中央区馬場町3番15号 (京都支店) 京都市中京区烏丸三条上ル場之町604 |
| 創設・創立 | 1999年7月1日 |
| 資本金 | 3,120億円 |
| 事業内容 | 西日本地域における地域電気通信業務および これに附帯する業務、目的達成業務、活用業務 |
| 従業員数 | 約12,250人(2006年3月31日現在) |
| URL | http://www.ntt-west.co.jp/ |
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